寧波七塔寺を参訪しました

はじめて寧波を訪れたのは2006年でした。寧波に通い続けて20年、今となってはあっという間でした。2011年の寧波天童寺の学会のときは、駒澤大学の先生方にくっついて寧波のお寺を巡り、どこのお寺でも先生方御一行様として歓迎していただいたことを、七塔寺でとても懐かしく思い出しました(私もトシをとり、七塔寺もすっかり変わっていました)。七塔禅寺住持の可祥法師と寧波大学の李広志先生に心よりの御礼を申しあげます。

我第一次访问宁波是在2006年。转眼间,在宁波往来已二十载,光阴似箭,转瞬即逝。2011年,在宁波天童寺学术会议期间,我有幸随驹泽大学的诸位老师参访了宁波的诸多寺院。每到一处,我们都受到热情款待,被视为老师们一行中的一员,这段经历至今令我倍感珍惜。如今,站在七塔寺,往昔种种画面浮现眼前,令人感慨万千(我自己也已年长,七塔寺也焕然一新,发生了翻天覆地的变化)。在此,谨向七塔禅寺住持可祥法师及宁波大学李广志老师致以最诚挚的感谢。

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日本早稻田大学宗教研究所西山美香一行参访七塔禅寺
2025年3月16日上午,日本早稻田大学宗教研究所特别研究员、驹泽大学禅研究所研究员西山美香女士,由宁波大学外国语学院副教授、日本研究所所长李广志,宁波工程学院外国语学院副教授、日本广岛大学文学博士许飞,,宁波财经学院讲师、日本关东学院大学博士暴图亚陪同,光临七塔禅寺参访交流,受到七塔禅寺住持可祥法师及有关常住执事的热情接待。
 可祥法师陪同西山美香一行依次参观了寺院的主要殿堂,讲解了寺院的历史沿革、建筑布局以及寺内保存的历史文物。法师详细讲解了圆通宝殿内珍藏的南宋大钟和五百罗汉砖刻图等珍贵文物,及殿墙外侧的十二副石刻楹联。法师讲述了三圣殿中八幅敦煌经变图的绘制历程,以及法堂南侧“戒灯续焰”匾额的题写缘起和寓意。在心镜藏奂禅师舍利塔前,法师重点介绍了舍利塔铭的内容。西山美香一行对寺院的悠久历史和建筑风格深表赞叹,表达了加深日常交流与学术互动的愿望。
 随后,双方前往丈室茶叙座谈。可祥法师向西山美香一行展示了志磐的《佛祖统纪》,策彦周良的《策彦合适初渡集》《策彦合适再渡集》,来马琢道的《苏浙见闻录》,藤井草宣的《最近日本佛教の交涉》,邢东风的《宁波七塔寺相关史实考略》等著述中有关七塔禅寺与日本佛教交往的史料,并讲述了寺院近年来在制度建设、学修建设、文化建设、工程建设以及对外交流等方面取得的成绩,得到了对方的一致认可与赞赏。
 西山美香首先对七塔禅寺的热情接待表示感谢,随后介绍了自己的求学经历和研究方向。她表示很高兴在此次参访过程中接触到很多从未了解过的佛教历史与资料信息,日本佛教学术界一直希望加强与中国学界和教界的交流,希望通过此次参访加固双方的沟通和友谊桥梁,自己也会在今后拓展研究方向,在七塔禅寺和宁波佛教研究方面产出相关学术成果。
 最后,双方互赠书籍,西山美香向可祥法师赠送《大唐名蓝记·和汉禅刹次〔中国部〕》(西山美香、王珂、宋力编),禅研究会影印丛刊:《佛像图汇 祖师·道具部》(1)、《佛像图汇 如来·明王·菩萨部》(2),东京国立博物馆、京都国立博物館、日本经济新闻社文化事业部编集《禅—心をかたちに》(临济禅师1150年、白隠禅师250年远讳记念);可祥法师回赠西山美香《七塔寺史话》(白玉凯著)、《栖心伽蓝史料集》(可祥主编)、第78期《报恩》杂志,并合影留念。
参加接待的还有典座昌顺法师、书记庆戒法师。

 

2025年3月16日の午前、日本の早稲田大学宗教研究所の特別研究員であり、駒澤大学禅研究所の研究員でもある西山美香氏が、寧波大学外国語学院の副教授で日本研究所所長の李広志氏、寧波工程学院外国語学院の副教授で広島大学文学博士の許飛氏、寧波財経学院講師で関東学院大学博士の暴図亜(女性)氏の同行のもと、七塔禅寺を訪問し交流を行いました。七塔禅寺の住職である可祥法師ならびに関係者が、温かく迎えました。

 可祥法師の案内により、西山美香氏一行は寺院の主要な殿堂を順に参観し、寺院の歴史的変遷、建築の配置、そして寺内に保存されている歴史的文化財について説明を受けました。法師は、円通宝殿に所蔵されている南宋時代の大鐘や五百羅漢のレンガ彫刻図などの貴重な文化財、さらに殿堂の外壁に刻まれた十二対の石刻聯(れん)について詳しく解説しました。また、三聖殿にある八枚の敦煌経変図の制作過程や、法堂南側に掲げられた「戒灯続焰」の扁額の由来とその意味についても語りました。さらに、心鏡蔵奐禅師の舎利塔の前では、舎利塔の銘文の内容を特に詳しく紹介しました。西山美香氏一行は、寺院の悠久の歴史と独特な建築様式に深く感銘を受け、今後の日中間の学術交流と文化的な対話をさらに深めたいとの意向を示しました。

 その後、両者は丈室(住職の居室)に移動し、茶を交えながら座談会を行いました。可祥法師は、西山美香氏一行に対し、志磐の『仏祖統紀』、策彦周良の『策彦合適初渡集』『策彦合適再渡集』、来馬琢道の『蘇浙見聞録』、藤井草宣の『最近日本仏教の交渉』、邢東風の『寧波七塔寺関連史実考略』など、日本と七塔禅寺の仏教交流に関する史料を紹介しました。また、寺院が近年取り組んできた制度整備、学修の向上、文化活動、建築事業、そして国際交流の成果についても説明し、訪問者から高い評価と称賛を受けました。

 西山美香氏は、七塔禅寺の温かい歓迎に感謝の意を表した後、自身の学歴や研究分野について紹介しました。今回の訪問を通じ、これまで触れる機会のなかった仏教の歴史や資料に触れることができ、大変有意義だったと語りました。また、日本の仏教学術界は常に中国の学術界や仏教界との交流を深めたいと考えており、今回の訪問を契機に、相互理解と友好関係をさらに強固なものにしたいと述べました。そして、今後は研究の視野を広げ、七塔禅寺や寧波の仏教に関する学術研究にも力を入れていきたいとの意向を示しました。

最後に、双方は記念品として書籍を贈り合いました。西山美香氏は、可祥法師に『大唐名藍記・和漢禅刹次〔中国部〕』(西山美香・王珂・宋力 編)、禅研究会影印叢刊の『仏像図彙 祖師・道具部』(1)、『仏像図彙 如来明王・菩薩部』(2)、さらに東京国立博物館京都国立博物館日本経済新聞社文化事業部編集の『禅—心をかたちに』(臨済禅師1150年、白隠禅師250年遠忌記念)を贈呈しました。一方、可祥法師は西山美香氏に『七塔寺史話』(白玉凱 著)、『栖心伽藍史料集』(可祥 編)、そして第78期の『報恩』雑誌を贈り、記念撮影を行いました。

なお、今回の接待には、典座(食事を司る僧)である昌順法師、書記の慶戒法師も参加しました。

 

中国寧波で開催された首届月湖国際学術会議で講演しました

早稻田大学特聘教授西山美香以宁波月湖为切入点,从日本禅僧在宁波的见闻中缓缓展开阐述,比较中国与日本的“放生”仪式之异同,从宗教的角度解读了中国文化对日本禅宗的影响。同时,她指出月湖作为宁波人的精神文化空间,在中日文化交流史上发挥巨大作用。

「足利義満のうちなる中国皇帝 舎利信仰を手がかりに」『アジア仏教美術論集 東アジアⅦ アジアの中の日本』(中央公論美術出版)の補足とおわび

 西山美香足利義満のうちなる中国皇帝 舎利信仰を手がかりに」『アジア仏教美術論集 東アジアⅦ アジアの中の日本』(中央公論美術出版)の第二章「金閣のうちなる北魏献文帝の鹿苑石窟寺」におきまして、

北山殿に禅室を設け、禅林諸老を集めて禅を談じた義満は、北魏の献文帝の鹿苑石窟寺を意識し、献文帝に自らをなぞらえていたと考えられる。そして「鹿苑」が鎌倉幕府執権(北条時宗による円覚寺)や室町幕府将軍(足利義満による相国寺鹿苑院)において強く意識されていたのも、中国皇帝が寺院創建にあたって、釈尊鹿野苑を意識していた伝統をふまえたものであろう。

ということを論じました。

 校正終了後に気づいた先行研究として、杉原たく哉『アジア図像探検』(集広舎)の「金閣幻想と五台山」があります。拙稿が見落としていた指摘が複数あり、なかでも北魏献文帝が平城の永寧寺に七重塔を建てたことが、相国寺と北山殿の七重大塔のモデルとなっているのではないか、というのは重要な指摘と考えます。

献文帝は中国初の上皇であり、日本の上皇太上天皇)や院政の起源となっています。十二歳の義持に将軍職を譲り北山殿に隠居した上皇気取りの足利義満が、自己のモデルとしたのが、この献文帝です。相国寺七重塔が消失するとすぐに北山殿に七重塔を再建したのも、献文帝の永寧寺七重塔の模倣を維持したかったからです。(116ページ)

 他にも大変興味深い指摘がいくつもありますので、杉原たく哉氏「金閣幻想と五台山」を拙稿とあわせてお読みいただけましたら、大変ありがたく存じます。杉原氏は2016年に亡くなられており、先行研究としてあげられなかったことにつきまして、直接お詫びを申し上げられませんことがとても残念です。まことに申し訳ございませんでした。なお、同書巻末の「杉原たく哉 年譜」を拝見したところ、杉原氏が2000年に私の母校に非常勤講師としていらしていたことを知りました。当時私は自室にこもって博士論文をひたすら書いていた時期で、ほとんど大学に行っておりませんでした。ぜひ授業を聴講させていただきたかった、とこれも非常に残念に感じております。

 

【追記】拙稿では文献に書かれていないこと(典拠がないこと)は主張しておりません(できません)。史資料に○○と書いてある→○○だ(であろう)、ということ(のみ)を記す拙稿では、カバーできない・指摘できないことを、杉原氏は広い視野・知識にもとづいて述べられており、それが非常に魅力的・刺激的、と思っております。ぜひ両方をお読みくだされば幸甚に存じます。

2023年を振り返って

 2023年は大変お世話になりました。

 2023年は1冊の史料集、1本の論文を出すことができました。数は少ないですが、両方とも手前味噌ながら時間と手間をかけた研究成果であり、なんとか世に送り出すことができたことに感慨無量の大晦日です。

 研究会としては、なんといっても『大唐名藍記・和漢禅刹次第〔中国部〕』を4月に刊行できました。この本を刊行するまでは死ねない、と本気で思って編集作業をしておりましたので、公開できたときにはとにかくほっとしました。ただ、正直なところまったく売れていません……涙 中国五山制度は日本にも大きな影響を与えましたが、その詳細を示す資料は中国においては現在までに見つかっておらず、本書所載の日本で撰述された「禅刹記」によってのみ知られます。南宋・元・明の仏教史についてのほんとうに貴重な史料集なのですが…… 図書館にリクエストしていただけますと大変幸いです。

 個人としては、「足利義満のうちなる中国皇帝 舎利信仰を手がかりに」を『アジア仏教美術論集 東アジアⅦ アジアの中の日本』(中央公論美術出版)に掲載していただきました。入稿が遅れ、時間切れとなってしまいましたが、北魏献文帝については、会田大輔氏『南北朝時代』(中公新書、2021)が、北魏の献文帝が退位して「太上皇帝」を名乗ったことが、持統天皇の「太上天皇」称号の参考(先例)にされたこと、世俗からの超越を図って譲位した可能性があること、皇帝が譲位後も実権を握る体制の初出が献文帝であると述べたことなどは、註に記すべきだったと反省しております(今後単著にまとめる際に補訂したいと思います)。本書の冒頭の宮治昭先生の総論「アジアの中の日本 インド・ガンダーラからの視座」と拙論をあわせてお読みいただけますと、拙稿で論じた日本五山禅僧がインド・中国をどのように認識していたかがより鮮明に見えてくるかと思います。私の「うちなる」という方法・問題意識は、大学時代に読んだ目崎徳衛『芭蕉のうちなる西行』の影響によるものです。今日まで自身に問いかけ考え続けている、室町時代の国家宗教的な役割を、禅宗の一派の臨済宗夢窓派が果たした諸相、そしてそれが可能であった歴史的・思想的な背景・基盤という研究テーマのうち、ある部分への私なりの回答として執筆いたしました。文字通りの拙い回答(論考)ですが、『アジア仏教美術論集』の最終巻「アジアの中の日本」に掲載していただいたことは本当にありがたく、感謝の気持ちでいっぱいです。

 研究生活の旅路の終わりを見据えて、来年もマイペースで活動してまいります。引き続きましてのご指導どうぞよろしくお願いいたします。

 みなさまよいお年をお迎えください。                西山美香

 

『大唐名藍記・和漢禅刹次第〔中国部〕』(歴史資料叢刊1)

禅研究会歴史資料叢刊1

西山美香・王珂・宋力編『大唐名藍記・和漢禅刹次第〔中国部〕』

(2023年4月8日刊行、15000円+税)

ISBN:9784910314075 C3015 ¥15000E 判型:B5 404ページ

Chinese famous Zen Buddhism temples

ーThe sequence of Chinese Zen(Chan)  sect temples since the Southern Song periodー

NISHIYAMA Mika WANG Ke SONG Li

中国の五山・十刹・甲刹の所在地・開山・境致(境内のめぼしい建築・山水・木石)などを列挙した「禅刹記」中国部分について、貴重な15書の翻刻を集成した。中国五山制度は日本にも大きな影響を与えたが、その詳細を示す資料は中国においては現在までに見つかっておらず、本書所載の日本で撰述された「禅刹記」からうかがい知ることができるのみとなっている。本書は、禅宗のみならず、広く南宋・元・明時代の中国仏教史研究に裨益するところが大きい。

 

目 次                                       

第一章 解説(西山美香)  
第二章 資料本文編〔中国部分のみ〕
 【天竺・中国五山一覧】   
 無着道忠撰「大唐名藍記」『正法山誌』  
 東京大学史料編纂所蔵「大唐名藍」『倭漢禅刹次第』(後欠本)  
 鹿王院蔵「大唐名藍之図」『大唐名藍』   
 国立公文書館内閣文庫蔵「大唐名藍之図」『大唐名藍』  
 「大唐名藍之次第」『群籍一覧』(版本、宝永七年[1710]版) 
 大谷大学図書館蔵「大宋諸寺位次」『禅林大宋諸寺位次』   
 続群書類従所収「大唐禅刹位次」『和漢禅刹次第』  
 東京大学史料編纂所蔵「大唐禅刹位次」『倭漢禅刹』 
 花園大学情報センター今津文庫蔵「大唐禅刹位次」『倭漢禅刹次第』 
 国立歴史民俗博物館蔵田中穣氏旧蔵『震旦扶桑禅刹次第』  
 東福寺霊雲院蔵『倭漢禅刹記』  
 松ヶ岡文庫蔵『震旦日域五山十刹次第』 
 松ヶ岡文庫蔵『名刹記』  
 京都大学附属図書館蔵経書院文庫蔵『名藍志』 
 駒澤大学図書館蔵『唐五山十刹』  
 国立公文書館内閣文庫蔵『三国名藍図』 

第三章 参考資料編(辞典・図版)

唐名藍記

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P.87・213・243 誤)用童 → 正)用章

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